閑古鳥屋の2019〜2020海外旅行記 @ラテンアメリカ、中欧

閑古鳥屋といっても、店は開いていません。コマツシンヤさんの漫画から借りました。2019年に南米に飛び立つところから記録をつけ始めました。内容が面白いかは置いといて、とりあえずオンライン上に旅日記みたいにして残せるのは素晴らしいです。30代、東京出身、文学部卒。大学院での専攻はラテンアメリカ文学。

ブエノスアイレス ① レティーロ、サン・ニコラス、モン・セラート地区 〜南米のパリジャン〜

前回はアルゼンチンのカピージャ・デル・モンテを訪れた話でした。オカルトチックなパワースポットを巡り、スピリチュアルな雰囲気を堪能できました。書いていてよくわからないですが、わからない感じがとても良い町でした。

 

さあ、いよいよ南米を代表する大都市、ブエノス・アイレスに移動です。むしろ、南米でブエノス・アイレスに比肩する都市は果たしてないのではなかろうか、という感じです。リマでは少し役者不足な気がするし。ブラジルのリオ・デ・ジャネイロサンパウロは行ったことないですが、どうでしょうか。やはり、独自の文化性や歴史性、街並みの美しさなどを総合すると、ブエノス・アイレスにはかなわないのではないかなと私は勝手に思います。

 

カピージャ・デル・モンテから、夜発のバス(カミオン)でブエノス・アイレスへ出発。乗り換えなし、コルドバ経由で早朝の着予定です。

目的地に到着する直前に目覚めると、なんだか外の景色や行き交う人々が、想像していたより少しいかつい印象を受けました。アルゼンチンペソ安で景気が悪く、若干治安も悪化しているのでは、と少し心配に。バスターミナルから見える街並みもすこぶる荒々しい。後で知ったのですが、バスターミナル周辺はスラム街でした。ちなみに、後日私はここに迷い込んでしまう事になります。

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バスターミナルがあるのは、レティーロ地区。ブエノス・アイレスは48の地区からなっていて、私が今回訪れた地区は以下の8地区。ガイドブックに載っているのも主にこの8地区です。

①レティーロ地区‥大きな鉄道駅やバスターミナルがある。交通の要。スラム注意。

②サン・ニコラス地区‥眠らない街。繁華街。映画通りやコロン劇場がある。

③モン・セラート地区‥大統領府のある5月広場、大聖堂など、歴史ある建物が並ぶ観光の中心地。

④プエルト・マデーロ地区‥新しく開発された港。再開発地区。日本のお台場みたい。

⑤サン・テルモ地区‥ノスタルジックな石畳の街。カフェや市場、古本屋やレコード屋などがあり、飲み歩きもしやすい。タンゲリーアもあり、日曜は蚤の市が開かれる。私の最もお気に入り。

⑥ボカ地区‥古くからの港町。タンゴ発祥の地といわれている。労働者がたむろしていたこともあり、リアチュエロ川の南側は今でもバラックなスラム街。

パレルモ地区‥ハイソなショッピング街や、パレルモ公園など。代官山と上野両方の要素を合わせた感じ。ライブハウスなども多い。

⑧レコレータ地区‥こちらも高級な街並み。国立美術館や大使館、国立図書館などが立ち並ぶ。レコレータ墓地の人気ナンバーワンはエビータ。

とまあ、かなり簡単な説明ですが、以上のような感じです。

ターミナルを出て南下すると、すぐレティーロ鉄道駅があります。駅舎がゴシックな感じで、日本でも公開された映画、「瞳の奥の秘密」のロケ地でもありました。

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他に見所として、アルゼンチン空軍広場があります。イギリスから独立100周年を記念して寄贈されたというタワーが建っています。しかし、フォークランド紛争の際にはイギリス軍から逆に標的にされ、大部分が破壊されたようです。贈ったものを壊すなんて、皮肉ですね。

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そしてビルの向こうに広がるのはサン・マルティン広場です。この写真ではよくわかりませんが。まあビジネス街ですね、ここらへんは。
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初日はサン・ニコラス地区に宿をとっていたため、レティーロ駅から地下鉄で移動しました。
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部屋はこんな感じ。まずはこちらを拠点に、街歩きを開始しました。初日の目的地は、「美しい書店」として有名なエル・アテネオです!ついでに中古レコード屋にも何軒か行くつもり。
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宿泊地の外の街路。人気のない裏道ですが、すでにそこはかとなくオシャレな雰囲気が漂っています。南米の他の街とは少し違っていて、ヨーロッパみたいな街並みです。

 

歩いてエル・アテネオに到着〜。

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入り口。内装以外はいたって普通の本屋でした
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劇場をそのまま本屋さんとして利用。舞台部分がカフェになっています。
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まさに豪華絢爛です
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アルゼンチンの有名作家マヌエル・プイグの本。未邦訳の作品も

 

同地区のもう一つの観光の目玉、コロン劇場にも行きました。あのエビータも足繁く通ったとかそうでもないとか。

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近くを通るときは、わざわざ寄り道して何度も眺めに行きました。館内はツアー待ちの観光客で溢れていましたが、私はなんとなく参加しませんでした。特に理由はありません。

 

サン・ニコラス地区、というかブエノス・アイレスで1番有名な通りが、おそらくコリエンテス大通りでしょう。「眠らない通り」と呼ばれ、ナイトクラブや映画館などが建ち並ぶ歓楽街ですね。かといってこちらは1人なので、寄るべきはレコード屋くらいでした。

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早速、MONO FONTANAなど音響派のCDを購入しました。店員さんはフランクで、日本のよりは親切かな。

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ここらへんはかなり繁華街。7月9日通りは世界一広い通りだそう。そこに立つオベリスコは、ブエノス・アイレスのシンボル的存在です。

 

地球の歩き方にも情報が載っていますが、ガレリア・グメエスというショッピングセンターの6階に、サンテックスことサンテグジュペリが住んでいた部屋があります。私はトチってしまったのですが、部屋の中も見学できるらしい!20世紀前半に南米航路を開拓していた、当時のフランス人作家の生活が垣間見えるはずです。

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モンセラート地区に関しては、大統領府や大聖堂などを訪ねたものの、南米の他の国を訪ねた身としてはあんまり新鮮味を感じませんでした。国会議事堂もまた然り。1番楽しかったのは、ブエノス・アイレスで最も人気で、市内最古のカフェといわれているカフェ・トルトーニでのひと時です。

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店の前には常に行列ができていました。席数が多く、みんなそんなに長居しないため、回転は早かったです。
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オリジナルグッズ。ちょっと欲しかった
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派手な内装だけれど、レトロな感じでむしろ落ち着きます。メニューの値段は少し高いけれど、雰囲気を味わうだけでもその価値は十分あると感じました。
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甘ーいお菓子。アルゼンチン名物のドゥルセ・デ・レチェを使っています。
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カフェ・トルトーニの常連だった世界的作家のボルヘス。年配の給仕さんが「俺がボルヘスに給仕してたんだ」と自慢してきました。

 

オマケですが、「石蹴り遊び」等の代表作を持つコルタサルが通ったカフェの1席には、未だにコルタサルが座ってタバコをふかしています。
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カフェ・トルトーニを気に入ってしまったため、夜のタンゴショーも観劇してしまいました。カフェの奥に別ステージがあります。
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壁にはピアソラをはじめとした有名なタンゴミュージシャンの肖像画がかかっています。レトロだけれど、古くさくないというか、むしろアンティークな魅力がありますね。カフェにもタンゴにも。ショーは踊りと歌がメインで約1時間。団体さんがいなかったからか、ガラガラでした。

 

帰り道はオベリスコを視界に捉えながら。夜中でも大通りは賑わっていました。リアル「ブエノス・アイレス午前零時」だなあ、と思いました。
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ではまた