アウシュヴィッツ・ビルケナウの強制絶滅収容所へ行った話
今回はクラクフから遠出して、アウシュヴィッツ・ビルケナウの強制絶滅収容所へ行きました。クラクフかららバスで片道約1時間半の道程。クラクフのバスターミナルは鉄道駅と隣接していて、アクセスが良いです。チケットはその場で購入して、そのまますぐ乗れました。
今回はガイドツアーではなく、個人での訪問です。ツアーはオンラインでの予約が可能ですが、個人の場合は入場無料ではあるものの事前予約が出来ないため、当日チケット売り場に並ぶ必要があります。また、個人の場合12月は10時〜12時は入場できず、早朝か午後のみ入場可でした。この入場可能時間帯は月によって違うので要注意です。
朝10時までになんとか入場できるように9時着したのですが、チケット売り場はなかなかの行列でした。
まあそれでもそのうち自分の番が来るだろうと思い悠長に待っていました。が、遅々として全然列は進まず。しかも雪が降ってきたため、芯から身体が冷えていきます。途中離脱してコーヒーを買いに行ったり、身体を動かすために歩き回る人もちらほら。結局1時間半並んでやっとチケットをゲットできました。売り場担当者が2人しかいなかったことが原因かとは思いますが、それでも時間がかかりすぎ。各来場者の名前を聞き、パソコンにデータを打ち込まれただけなのになぜだったのだろう?
結局午前中は施設内に入れず。早めの昼食にしました。食事処は1箇所のみですが、この食堂が安くて美味しかった。早い時間なのでなんとか座れましたが、昼時はかなり混雑しそう。ポーランド風煮込みとスープ、それにマッシュドポテト。
食事を終え外に出てびっくり、チケットを求める行列が朝方の3倍くらいに伸びている!入場できるのは14時までらしいけど、みんなちゃんと入れたんかな。
そんなこんなで12時になってやっと施設内に入場できました。ガイドツアーではないため、私は公式ガイドブックを売店で購入し、それを参照しながら進みました。
まずはアウシュヴィッツ強制収容所に入場。アウシュヴィッツはビルケナウと比較して知名度がありますが、ビルケナウの方が規模はずっと大きいです。アウシュヴィッツは建造物が現存しているため知名度が高いみたいですね。ビルケナウの方は敗戦が決まってから、ナチスが証拠隠滅に大部分を破壊してしまったそうだ。
アウシュヴィッツの入り口ゲートにはこんなスローガンが掲げられていました。
"arbeit macht frei"
「もっと働けば、自由になる」
文法的に上の訳で正しいのかはわかりませんが、最後のfreiが空虚な響きを持っているように感じられます。
逃走防止の金網
収容された人々から押収した靴たち
低くて狭い三段ベッド
この宿舎は収容された人々自身の手で建てられたとのこと
「死の壁」と称された処刑場
夏のバカンスシーズンはもっと混むのでしょう。けれども、冬ならば極寒の中薄着で苦しんだ人々の感覚を、ほんの少しリアルに想像しやすいような、そんな気持ちがしてきました。
なかにはフランスやハンガリーなど、ここに収容されていた人たちについて国毎の展示も。犠牲者の大勢はユダヤ人ですが、他にも敵国の捕虜や政治犯等も収容されていたため、それらの記録を残す展示を各国で行なっているようです。
アウシュヴィッツからビルケナウまでの移動。無料のシャトルバスを利用します。片道5分程度で到着。最初に目に飛び込んできたのは、やはり写真で見慣れたあの引込み線でした。
施設内に入って門を振り返ってみると、さらに既視感のある景色が目前にありました。映画などで見慣れたこの景色が、ビルケナウのものだったことを知りました。
一部はナチスに破壊された状態のまま保存されています
犠牲者を悼む記念碑
雪が少し積もっていました
ビルケナウはとても広いですが、アウシュヴィッツと比べて展示が少ないため、所要時間はそんなにかからない。ただ、ビルケナウは広々としている分だけ、時とともに醸成された空虚さや荒廃感のようなものがそこかしこに漂っているように感じられ、人類の業みたいなものをいやでも想起させます。
強制収容所について、何度もしつこいですがチケット売り場の待ち時間だけはなんとかしてほしいです。チケット代を有料にしてでも、人員を増やすかオペレーションを効率化するなどしてほしいです。ドイツと同じく、ポーランドにとっても負の遺産ではあると思いますが、1人でも多くの人が訪れるべき稀有な場所だと思います。強制収容所の犠牲者が受けた理不尽な扱いをほんのちょっとでも来場者に追体験させたいのかしら?なんて、雪に降られながら全く進まない行列に並んで考えちゃいました。
次回はまた別の世界遺産、ヴィエリチカ岩塩坑に行きたいと思います。
つづく