ブエノス・アイレス ③ ボカ地区 〜 あのマラドーナがいたよ〜
前回はブエノス・アイレス市街地の南側、庶民的ながら観光地としても見どころの多いサン・テルモ地区に行った話でした。ブエノス・アイレスを訪れる目的は人それぞれだと思いますが、どのガイドブックにも書いてあるような名所だけでは物足りないよ、もっと街のことを知りたいよというような願望をお持ちの方には、サン・テルモに泊まりながら遊び尽くすのが大オススメです。カフェやレストラン、市場やレコード屋など、普段の一般市民の暮らしに近い生活、又は文化を追うことができると思います。加えて、単なる観光資源としてのタンゴではなく、レコード屋で盤を並べたり、小さなライブ会場で現代風タンゴを演奏したりと、きちんと音楽として愛好している感じが良かったです。
さて、今回はサン・テルモよりさらに南側、ボカ地区へ行ってきました!また地球の歩き方の文章を引用しますが、ボカ地区について、とても刺激的な記述がありました。
「(ボカ・ジュニアーズ・スタジアム博物館への行き方について) カミニートから3ブロックだが、昼間でも強盗に遭う可能性があるので、タクシーやコレクティーボに乗ったほうがいい」
どんだけ治安悪いんでしょう。たった3ブロック、おそらく5分とかからない距離を移動するだけなのに、乗り物を利用するようアドバイスするなんて!夜間ならばまだしも。これはなかなか尋常ではありません。正直私もこれを読んで腰が引けてしまいました。パタゴニアの宿で朝食を共にしたフランス人の兄さんが、ボカ地区に宿をとったとき夜7時以降は外出しなかったと言っていたのを思い出したりもしました。が、しかし、カミニートと呼ばれるリアチュエロ川近くの小径は建物がカラフルに彩られらなんか楽しげな雰囲気ですし、行かないとたぶん後悔するでしょう。まあ、現実的にガイドブックに載っている観光名所だからどうしても行けないような場所ではないだろう、という思考回路に無理矢理切り替え、ここは単独で行くことにしました。「ボカ地区に行きたいけれど、治安が悪いみたいだから不安!」という方は私の経験が参考になると思います。
とりあえずボカ地区に行くにあたり以下の方法をとりました。
①荷物は最低限。サイフの中身はその日使う分+カツアゲされたときのチップ代、SUBEという交通ICカードのみ
②10時〜16時の間しか当該地区で行動しない
③サン・テルモの私の宿からカミニートまで徒歩20分くらい。バスはよくわかんない&タクシーを使いたくない(ケチだから)という理由により、消去法で徒歩移動を選択。ただし、絶対に大通りしか歩かない
以上3つの鉄則を守れば、南米をぐるぐるまわってきた自分ならば、危険を回避できるだろうという自信もありました。
サン・テルモのレサーマ公園を突っ切ってAlmte Brown大通りに出た後は、ひたすら同じ道をずーっと歩きました。関係ありませんが、ブエノス・アイレスには人名が通りの名前として使われる事が多いですね。Borges通りを見つけた時は嬉しいようなどうでも良いような妙な気分になりました。蛇足ですが。別の通りにゴーストタワーなるものが建っているのを発見しましたが、もちろん道を逸れるわけにはいかないのでスルー。
何がゴーストなんでしょう?
そのまま20分以上歩き続け、無事リアチュエロ川に行き当たりました。
船は見当たらず。今は港湾施設として機能していないのでしょうか
ここまでの移動について。大通り沿いは絶えず人影があるため、怖さをほとんど感じませんでした。荒んだ雰囲気もなかったですが、たまに団地のような共同住宅が見えたときには少し緊張しましたね。バスもタクシーも使わず(使えず)にボカ地区に行きたい!という方は、大通り沿いを歩く作戦が良いかと思います。そして、移動は昼間にしましょう。
リアチュエロ川まで来れば人もたくさんいますし、スリさえ気をつければ安全。リアチュエロ川やそこで働く人々をモチーフに作品を描き続けたキンケラ・マルティンの像もありました。カミニートのカラフルな建築物をデザインし、まちづくりを行なった貢献者でもあります。
リアチュエロ川対岸。向こう側へは渡らない方が良さそうですが、どんななのかは知りたいです。誰か取材してきてくれないかな?
川沿いから小径(カミニート)に入れば、カラフルな街並み。レストランやお土産屋が並んでいます。
2階のバルコニーには、蝋人形?みたいなやつら
土産屋の前で眠る猫
見せつけるように店の前で肉を焼いていました。アルゼンチン人は本当に肉が好きですね。これは「アサード」といわれる炭火焼きで、じっくり時間をかけて旨味を引き出すのが特長
ボカ地区はタンゴ発祥の地といわれています。真偽のほどは定かでない
ここでもアートな品々を路上販売していました
ボカ地区には、キンケラ・マルティン美術館とフンダシオン・プロアと現代アート美術館があります。私はキンケラ・マルティン美術館のみ訪れました。入館は無料でした。
キンケラ・マルティンの絵画。港湾労働者の光景を描いています
夫の死を嘆く妻。病気か事故でしょうか?伝染病や港湾の現場事故で亡くなった人は多かったのでしょう。これはキンケラ・マルティンが描いたものではありませんが、作者は覚えていません
こちらは船首像の展示。ブエノス・アイレスの船乗りにとっては大事な要素だったよう
なんとなくアルゼンチンっぽい絵画たち。サッカーと肉が好きなんやね
そうこうするうちに夕暮れが迫ってきてしまいました。美術館でパンフレットなどのお土産を買い、ボカを後にします。帰りは歩くのがしんどいのでバス。バス停はリアチュエロ川に沿った目立つ通りにあります。バスに乗るにはSUBEが必要なため、注意してください。行き先は特に決めていませんでしたが、適当に「5月広場行き」に乗り込みました。これからもう2、3軒まわりたいと思います。ではまた
Hasta luego〜