閑古鳥屋の2019〜2020海外旅行記 @ラテンアメリカ、中欧

閑古鳥屋といっても、店は開いていません。コマツシンヤさんの漫画から借りました。2019年に南米に飛び立つところから記録をつけ始めました。内容が面白いかは置いといて、とりあえずオンライン上に旅日記みたいにして残せるのは素晴らしいです。30代、東京出身、文学部卒。大学院での専攻はラテンアメリカ文学。

サンティアゴ ① ピノチェトをさがして

前回投稿からずいぶんと間が空いてしまいました。アタカマ砂漠を満喫したのが前回まで。今回は、チリの首都サンティアゴに移動していきます。南米に関して興味がない方でも、サンティアゴについては名前をご存知の方も多いと思います。

サンティアゴは1973年9月11日に起きた軍によるクーデターの舞台であり、それにより、世界で初めて自由選挙によって選ばれた社会主義政権の大統領、サルバドール・アジェンデが官邸で自死しました。当時は世界中でかなりの衝撃を与えたものと思います。「サンチャゴは雨」の緊急ラジオ放送が有名ですね。今でも、クーデター時に撃ち込まれた弾痕がいくつかの建造物に残っています。

もちろんそれだけでなく、サンティアゴは南米の中でも有数の大都会で治安も良いことで知られています。南米をぐるりと回って緊張している心身を久しぶりにリラックスさせるにも最適な街です。

 

アタカマからはバスでカラマに移動し、カラマ空港から飛行機でサンティアゴに移動しました。長距離バスでも移動可能ですが、所用24時間のバス移動はしんどいため飛行機をチョイスしました。南米各間の飛行機料金はわりと安いので、長距離移動の際はまずフライトの有無や料金を調べるのがおススメです。

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アタカマのネコちゃんともお別れ

 

サンティアゴ空港到着後、空港バスで市内に移動しました。空港からバスターミナルまでは約40分。着いた時間も遅いため、初日はターミナル近くのホテルに1泊しました。周辺にはキオスクや簡単なバーガースタンドが並んでいました。今まで訪ねたところとはまた街並みがちがいますね。好きな砂漠を離れて急に大都会にきてしまい、なんかさみしいきもち。

 

ホテルから歩けるエリアに、博物館や現代美術館などを収容した大きな公園があるみたいなので、荷物をホテルに預けてそちらへお出かけ。途中街の東西を走るリベルタドール大通りを渡ります。ここは人も車も多く、数多くの露店が軒を連ねています。サンティアゴのメイン通りっぽいですね。そこを渡ってしばらく北上していくと、キンタ・ノルマル公園という巨大な公園がみえてきます。ここは上野公園みたいな感じで、美術館や博物館などがいくつもあります。

 

まず最初に訪ねたのは国立自然史博物館です。授業の一環か、たくさんのちびっこたちがはしゃいでいました。

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チリは南北に4000km以上も伸びた細長い国。そのため、北は砂漠地帯から南はパタゴニア地方まで、多彩な自然環境に恵まれています。そんなチリに住まう動物たちの剥製が、館内に所狭しと並んでいました。生物に限らず、鉱物や植物などの展示や説明もあります。チリのこどもたちが楽しそうにワイワイ展示を眺めていたのが印象的でした。日本も座学ばかりを小さい頃から叩き込むのではなく、こういう生きた教育にもっと力を入れてあげたほうが良いのではないかしら。チリのこどもたちは、とても生き生きとした目をしていましたよ。

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パタゴニアの先住民ヤマナ族の展示も!

こいつらとはこの後の旅で何度も再会するにちがいない‥!と、この時直感しました‥‥

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次は現代美術館に行きました。自然史博物館から歩いてすぐの場所です。

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なかなかユニークかつトリッキーな展示たちでした。現代アートとはかくあるべし。チリの今の問題意識みたいなものが垣間見える展示が多かったような気がします。気のせいかもしれませんが。

 

公園を出て、地下鉄キンタ・ノルマル駅方面に行くと、Museo de la Memoria y los Derechos Humanosがあります。日本語にすれば、記憶と人権の記念館ですかね。主な展示は、チリの軍事政権による1973年のクーデターとその後の独裁政権の行なった犯罪に関したものです。当時の証言や詳細な資料、新聞記事などの展示を追う事で、史実を認識することができます。

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大統領官邸に突撃を仕掛ける軍
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ピノチェトの写った写真
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政治犯への拷問図
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民主主義の奪回を喜ぶ人たち
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何万人もの人たちが行方不明のまま。こういう現代史は中南米の国々に多いですね。いまだに治安が悪いと思われている一因かも

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軍事政権によって殺された人々の顔写真。膨大な数です

 

なぜか地球の歩き方などのガイドブックではこの記念館について全くふれられていませんが、チリの現代史や世界の人権問題について知ることができる、しっかりとした展示を行っている施設です。サンティアゴに来たらまじ訪ねるべき場所だと思います。また、チリにとってあまりふれられたくないような黒歴史と向き合っている姿勢も立派だと思います。

 

ちなみに今回訪ねた美術館や博物館は、全て無料でした!なんて気前が良いのでしょう。チリという国が、文化事業にしっかりと力を入れているのがよくわかります。こういう環境であればきっと子供たちも伸び伸びと学び、しっかりとした思考力や創造力を身につけて成長していくんだろうなと思います。何十年というん長いスパンでみれば、教育にかけたお金や労力は無駄にはならないですからね。

 

次回は、サンティアゴの中心である旧市街周辺を散策したいと思います。国立美術館や民俗博物館も訪ねたいと思います。

 

ではまた